FOX RHYTHM フロントサスペンションの調整方法

サスペンション調整

フロントサスペンションの調整について。

2018年式 完成車 SCOTT SCALE930についてきたフロントサスペンションは「FOX RHYTHM」。このサスについて調整方法をまとめてみました。

FOX 32 Float Rhythmってどんなサス?

SCOTTのカタログによると詳しい型番は「FOX 32 Float Rhythm Grip 3 / 3-Modes / 15x110mm QR axle」ってなってます。ちなみにストロークは100mmのモデルです。

この「RHYTHM」ってモデルはFOX Racingshox 日本公式サイトをみても商品一覧には載ってないです。外観的な特徴は、アウターレッグが肉抜き軽量化されたてない。色もFOX的なオレンジでなく黒。もちろんカシマコートもなし。といった感じです。外観的な特徴から察するに、STEP-CASTのような単体でのアフターマーケット用の商品ではなく、完成車用の廉価版って位置づけなモデルみたいです。

廉価版ですが、一応最近のFOX製であることには違いありません。エアースプリング部の蓋には「FLOAT」の文字があったり、ダンパー部には「FIT GRIP」がプリントされたシールがはってあったりします。これらの文字だけみると中身はSTEP-CASTのPERFORMANCEシリーズと同等かと思えます。重めのPERFORMANCEって感じでしょうか。分解したことないのでエアースプリング部やダンパー部の中身がどうなっているのか定かではないですけどね。

あとこれ、リモートロックがついたモデルとなってます。SCOTTの完成車の独自機能で三段階(開放・半分ロック・ロックアウト)の調整です。ロックアウト状態でも強い衝撃がはいるとサスは動くタイプとなってます。

調整のポイント

詳しくはFOXのサイトのこのあたりのマニュアルを見てもらうのがよいです。
マニュアルによると調整方法はざっくり以下の順番になります。

  1. サグだし。(エアー圧の調整)
  2. リバウンド側の調整。
  3. ボリュームスペーサーの調整。(ストローク中盤からボトムアウト付近の抵抗量の調整)

調整のポイントは「サグだし」です。

サグはエアー圧で調整します。エアー圧の強さに関しては「体重に合わせる」です。このエアー圧が決まれば、設定すべきリバウンドの強さもおのずと決まりますよ。

平たく言いかえれば、エアー圧・リバウンドの強さは、メーカーさま(FOX)が設計した体重に応じた最適な値があるってことです。

この最適な値にはある程度幅はありますが幅はそれほどないと考えたほうがよいと思います。
悪い例として、サスが動きすぎるからエアー圧を高め・リバウンドをより強くするなんてしてしまうのは愚策です。そのままセッティング沼へ落ち込んでしまいます・・・。

ちなみにサスの動き、初期の動き出すタイミングをおそく調整したいのであれば、コンプレッション側の調整です。リモートロックアウトがあるサスの場合はあらかじめ調整する必要はなく、走っているところの状況に合わせて乗車中に臨機応変に変えることになります。基本は開放にしておいて、動いてほしくない時は半分ロックもしくはロックアウトにしろってことですね。

コンプレッション側のストローク中盤から後半の動きを抑制したいならボリュームスペーサーの調整です。動きを抑えたいのならスペーサーの数を増やしてサスが縮んだ時のエアー圧が高くなるようにして踏ん張り感をだすようします。

手順1 サグだし

アウターレッグにご丁寧に「体重とエアー圧の関係」を一覧にしたシールが貼ってあります。基本このシールの内容どおりに規定値のエアーを入れるだけでサグだしはOKです。

簡易的にシールの内容から体重とエア圧の相関関係を式にしてみました。

体重を「x」として、エア圧「y」を求める式は、
「y=1.0738x + 5.3149」となります。

わたくし目の体重は75kgぐらいです。
入れるべき規定値のエアー量を上の公式にあてはめて計算すると、1.0738*75kg+5.3149=85.8499psi って感じになります。

この規定値のエアー量85psi入れてみると、サグが20mmほどになり丁度いい感じになりました。

手順2 リバウンドの調整

リバウンドの調整もアウターレッグに設定すべき値がシールで貼ってあります。

「体重とREBOUNDノブのクリック数の関係」が一覧になっているので、このシールにある規定値の範囲でノブを調整すればリバウンドの調整は完了です。

規定値をはずれて極端にリバウンドを強くしたり弱くしたりする必要は全くないと思います。

ノブのクリック数の数え方ですが、「clicks out from fully closed(フルクローズからクリックする)」とかいてありますので、最初に目一杯「+」側に回し切ってから「-」側に戻していく数を数えるようにします。

リバウンドに関しても、簡易的に、体重とリバウンドノブクリック数の相関関係を式にしてみました。

体重を「x」として、クリック数「y」を求める式は、
「y=-0.2091x + 24.543」となります。

体重が75kgだと、
-0.2091*75kg-0.2091*24.543=8.8605回。

四捨五入して、9回「-」側に戻すって感じですね。 実走して試してみましたが、ギャップでフロントがはねるような感じはせず、ちょうどいい感じです。

手順3 ボリュームスペーサーの調整

サグとリバウンドの調整は必須科目みたいなもんですが、ボリュームスペーサーの調整は必ずしも必要ではないかと思います。必要に応じて行えばよいかと思います。

ボリュームスペーサーの調整を行うためには26mmのソケットレンチが必要です。

調整を行う際は、
エアーをしっかり抜いて、26mmのソケットレンチを使ってトップのキャップを緩めはずします。

サスによっては、初期でボリュームスペーサーが付いている場合もあるみたいですが、わたくし目の「RHYTHM」の中には、ボリュームスペーサーはついていませんでした。別途FOXを扱っている自転車店から購入です。ボリュームスペーサーを増やしたい場合も含め、サスの種類にあったボリュームスペーサーを購入しましょう。

ボリュームスペーサーはこんな感じでキャップにくくりつけます。複数つける場合はボリュームスペーサーを連結していきます。下の写真は2個くっつけていますよ。

ちなみに32mmのRHYTHM用はピンクのスペーサーになります。青は32mmのFLOAT用です。

わたくし目の場合、ピンクの在庫がなかったので、青を削って無理やり押し込んでいますが、サスの種類にあったものを購入しましょう。

調整は、ギャップを飛び越え着地した時にサスが全部縮んで底をつくような感じなら、ボリュームスペーサーを追加します。逆にストローク後半の動きが詰まったように固く感じるなら、ボリュームスペーサーを抜きます。抜いた場合エアーボリュームが増えるためなのか初期の動きだしが若干よくなる感じもします。

マニュアルをみるに、サグだしやリバウンドの調整と違い体重に応じたボリュームスペーサーの数は決まっていないようです。乗ってみて好みでセッティングするということですね。

セッティングの参考として、2個と1個と0個の3パターンで違いを比較してみました。

同じ階段を下って上ってを何回か繰り返して、それぞれのパターンでストロークする量を測ってみました。

■2個の場合、残り2センチ強ってとこです。

■1個の場合、1.4~1.5センチといったところです。

■0個の場合、1.3センチといったところでしょうか。

1個の場合とあんまし変わんないなあ。これぐらいの階段を下るくらいなら0個でも底はつかないようです。

で、ベストなセッテングは何個なの?
好みもあるでしょうが、2個だと後半踏ん張りすぎちゃう感じです。0個と1個を比べると、1個の方が好みです。1個だとなんとなく最後で踏ん張る感じがあり安心感があります。

ということで、わたくし目は1個で試しています。

まとめ 調整はほどほどに

サグだしに関しては、そもそも入れる空気の量はシールに書いてある規定値から大きくずれることはないと思います。好みでサグが15%~25%くらいになる範囲で調整はできるかと思いますがそもそも微調整できる範囲は限られています。ほどほどにしましょう。

そもそもリバウンドもコンプレッションも強くすることはイコールサスの動きを抑え込むこととなります。強くしすぎるとサスが動かなくなるってことです。調整はほどほどに!ですね。

ボリュームスペーサーの調整も入れすぎは動きを抑えることになりますので、これもほどほどがよいかと。

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